第5話 2度目のレコーディング

4ヶ月後の、1954年1月4日、エルビスはそのスタジオに戻ってきて2曲吹き込んだ。このときはサムがレコーディングを指揮した。曲は「カジュアル・ラブ・アフェアー」と1951年にヒットしたクリント・ホーナーの「アイ・ウィル・ネバー・スタンド・イン・ユアー・ウェイ」を歌った。サムは相変わらず印象に残らなかった。

数ヶ月たったある日、デモテープを作るために思案していたフィリップスは、秘書のマリオンがエルヴィスのことを強く推薦したにも関わらず、ここでも彼はエルヴィスのことは頭の中になかった。その年の6月にナッシュビルのピアー・ミュージックからデモテープを受け取った。彼はそれを聞いて気に入った。さっそくリリースの準備に取りかかろうとしたが、この「ウイズアウト・ユー」を歌っている黒人シンガーは誰も知らないことが唯一問題だった。フィリップスは、その日スタジオの中をウロウロと行ったり来たりとまるで子供のようだった。歌手を探すために絶えず頭を使って考えるということをあきらめた後、フィリップスは身近にいる他の誰かを探すことに決めた。連絡すると約束したマリオン・ケイスターは、やっとプレスリーに電話をかけて説得する事ができた。フィリップスによると、電話を切る寸前にエルヴィスがスタジオの前を通りかかったのだった。